2014年から16年にかけて、新松戸で「Before I die」というプロジェクトをやっていました。
死ぬ前にしたいこと
Before I die I want to….. あなたは死ぬ前に何がしたいですか?と書かれた黒板を街中に設置して、道行く人たちにそれぞれの思いをチョークで自由に書き込んでもらうという試みです。
元々はニューヨークのアーティスト、キャンディ・チャン氏が始めたアート・プロジェクトで、私がたまたまTEDでの彼女のスピーチを見て感激したことが酔っ払った地元のおじさん5人らに伝播した結果、遠く離れた日本の(新松戸の)地で同じような取り組み(マネ)が始まったというわけなのです。
TEDフェローでアーティストのキャンディ・チャンは、ニューオーリンズの自宅の近所にある見捨てられた家を大きな伝言板に改造し、穴埋め式の質問で人々に問いかけました。「死ぬ前に私は___したい」。すると驚くような答や、感動的な答、あるいは滑稽な答が近所の人たちから寄せられて、そこはコミュニティを映す意外な鏡となったのです。(あなたなら何と答えますか?)
──www.ted.comより引用
設置までのハードルいろいろ
おっさん達が酔っ払って「やろう!やろう!」と盛り上がってるまではいいのですが、(なんでもそうだと思いますが)実際に実現するまでの道のりにはけっこういろんな「現実」というハードルがあります(笑)。
まず、場所の確保。これは公道なら管轄の役所や機関。民地なら地主さんとの交渉が必要です。
次に黒板の調達。専用の塗料を塗布して壁を黒板化する方法なども含めて検討しましたが、いろいろと技術上の課題が出てきてこちらもそうそうスンナリはいきません。
このほかにも、黒板の印字を制作したり、運搬や設置、施工方法や段取り、アメリカ本国サイトへのPR、といろんなやるべきことがあります。
まあこの辺のいきさつは(山のようなエピソードがありますので)後日別記事で詳しく振り返ってみたいと思いますね。
廃校になった中学校の黒板を再利用
いろいろ紆余曲折あって(でもスピードは速かった!メンバー皆流石でした!)黒板は近年廃校になった旧新松戸北中学校(の視聴覚室)で使われていた黒板2枚を再利用することに。
学校で使われていたモノだけあって品質・耐久性については文句なしですし、卒業生にとってはモニュメントでもあります!
設置場所は新松戸6丁目のバーミヤンのとなり。当時大きなビニールハウスが建った農地前。ここの地主さんが快く場所を提供してくれました。
忘れられた場所に再び意味を
ただ、ここは農地の前です。商業施設の前と違って、通り過ぎる人が見向きもしない場所です。
そんな場所で2014年にスタートした「Before I die…… in 新松戸」。
でも、でも、でも…、フタを開けてみると黒板がたくさんの書き込みであっという間にいっぱいになりました。嬉しかったですね。今まで誰も振り向きもしなかった場所にたくさんの人が立ち止まって、それぞれの希望や想いを書き込んでくれたんですから(ありがとう!×100000…)。
それからは仲間と交代で黒板の掃除やチョークの補充をしながら皆の書き込みを写真に撮ってせっせとアーカイブ。フェイスブックページに保存を続けました(←見てね)。
笑ったり、涙ぐんだり、慰められたり、勇気付けられたり
まあ正直なとこ、民度の低いしょーもない書き込みに(落書き板じゃねーんだよ)悩まされたりもしましたよ。
でも、書き込みのひとこと一言にクスッと笑ったり、ホロっと涙ぐんでみたり、慰められたり、勇気づけられたり、たくさんの人たちがそこにいる=人間は一人じゃないんだ〜、なんていう思いが黒板を眺めてるとジワァ〜っと湧き出してくるんですね。
地域の人たちがなにげなく利用できるアウトプットの場があるというのは素晴らしいことだと感じました。
そして時は過ぎて2016年夏。設置場所の農地がコンビニになるという計画が決まり、黒板は撤去。Before I die in 新松戸は(一旦)終了となりました(現在はセブンイレブンが建っています)。
その後、秋の地域イベントで1日だけ復活(新松戸中央公園にて)。
いつのまにか書籍化もされていました。
Before I Die(英語)
Kindle版もあるみたい
設置期間中には日本中からいろんな問い合わせをいただきました。同じようなことを考えている同志が全国にいるというのは嬉しかったですし励みにもなりました。
また機会があればどこかででで〜んと「Before I Die」黒板(ウォール)を建てたいと思いますので、見かけた際には皆さんどうぞよろしくで〜す!